ところで、シャーロック・ホームズって、お好きですか?
ハッキリ言って、私はキライなんです。
どうも好きになれない。
映画とかテレビドラマも含めて、どの作品もおもしろいと思ったことがないんです。
主人公のシャーロックをはじめとして、登場人物に魅力を感じたことがない。
読めば読むほど、観れば観るほど、ただひたすらバカバカしくなるばかりで、しまいにハラが立ってきてしまうのです。
アレのどこがいいんだ?!というのが私のホームズ観。
なんでこんなにモテまくってるワケ?さっぱりわかりません。
ホームズを一番最初に読んだのは小学生の時でした。五年生くらいじゃなかったかな。
四年生だったかもしれない。
作品は「まだらの紐」でしたけど、子供心にもバカバカしいだけでした。正直なところいわゆる「お子サマ向け」作品なのか?と思ったほど。
そもそも「お子サマ向け」ってなカンジの作品―小説でも映画でも―が、私はキライでした。
当時は自分の気持ちを表すことばを知らなかったけど、つまりは子供だからとナメられてる。理解できないだろうと決めつけられている。
という、屈辱感を伴うからだったと思います。子供が活躍するような作品もキライでした。現在でもそれは変わってません。
本気になれない、といいましょうか。
そしてこの気持ちは、新旧問わずあらゆるホームズ作品に共通して抱く感想なのであります。
後にポーの「モルグ外の殺人」を読んだ時にこの「まだらの紐」を思いだしましたが、感想はまるで逆でした。
わずかばかりの灯りがかえって闇を濃くする、あのノワールな不気味さ、怖かったです。映画になっていたのもテレビで観ましたが、長い影を曳くような暗い映像美にシビレましたね。
「アッシャー家の崩壊」なんかも、結末は読めてるのに引きこまれてしまう。
なのにホームズシリーズはムリ。オリジナルなものだけじゃなくて、ダウニーJrさんやカンパチさんが演ってる新しいホームズも悪いけどつまんない。
おそらくその理由の一つとしては、私が大がかりなトリックがキライだということがあると思います。
大がかりなトリックほど、種あかしをするとシラケルものです。最後に肩すかしをくらった気分になってしまうのです。
しかしホームズって、そういう側面が持ち味の存在ですから、おそらくこの先も私が好きになることなないでしょう。
ただ、ドイルさんは私の敬愛する作家の一人でもありまして、何故なら、あの「失われた世界」を書いてくれた人だからなのです。
私にとってドイルさんはホームズの生みの親ではなく、失われた世界の生みの親なのです。
あんなワクワクする話って、今だに他にはないですねー!!今でも冒険ってことばを聞くとまっ先にあの話が浮かびます。
ちなみにその次に浮かぶのはジュールヴェルヌの「地底探検」なんですけど。
恐竜モノで秘境モノ。(どちらも映画がまた良かった。)
てよりも、恐竜モノは秘境モノであってほしい。恐竜が登場する冒険SF小説の舞台は秘境でなくてはイケナイ!
今や地図上の空白なんかなくなっちゃってるけど、南極大陸の氷の下とか地球空洞説とか、どこかにヒネリ出して秘境にしてほしい。
で、そこに行けるのは探検家たちだけ。
誰でも行ける遊園地であってはいけないし、間違ってもテレビ中継とか戦車とか軍用ヘリコプターなんか登場させないでくれ。
ゴジラもだけど、町中を歩くティラノとか見たくない。
ということで、アガサファンとしては、ホームズみたいに新しい設定でのポワロを見てみたいのです。
現代に蘇らせて―別に現代でなくてもいいんですけど―ダウニーJrさんやカンパチさんが演ってるみたいな、新しい事件に立ち向かわせてもらいたいワケ。
どうしてホームズにできてポワロにできないのか?
「カーテン」で死んでしまったからかもしれないけど、ホームズだって生きかえったんだし、そこらへんはなんとかなるんじゃないでしょうか。
肉体までの復活は難しくても、魂だけ誰かに憑依しちゃうとか、サ。
「カーテン」はユニークでおもしろい作品だったけど、やっぱりポワロを死なせちゃったのはもったいない気がするんだけど。