「どくしょのあき」とクリスティ

 (ツイッターにて拝見した)積読邸の住人さんに倣ってみたので、コメントまでいただけて嬉しいです。

ど ドミノへ
く クリスマス・プディングの冒険
し 書斎の死体

の 農夫ジャックの幸福
あ アラビアの夜の種族
き 黄色い部屋の謎

 読書というと、やっぱりミステリー中心になってしまいますね。「書斎の死体」は本文はもちろんですが、あとがきも大いに楽しめました。

このタイトルで書きたいと考えていたのになかなかアイデアが浮かんでこず、長い間タイトルだけを書いたページを放置していたという意味あいの記述を読んで、へえーと思いました。

あんな大作家でも、ちゃんと備忘録のようなノートを持っていたんですね。いや、大作家だからこそでしょうか。

 そういえばほかの作品のあと書きでも、どうしてあんなにたくさんの作品を次々と考えつくのか?という読者からの質問を多くもらうけど、ウンウンいいながら頭の中からひねり出すのだ!みたいなことが書いてあったのには笑っちゃいました。

読者はアイデアがなる木でも持っているように思ってるらしい!なんて書いてありました。

 ほかにも、執筆するなら食事がまずくて居心地のわるいホテルでやるべきだ。少しでも早く書きあげて家に帰りたくなるから、なんてのも。

 こんなことを知ると、クリスティの人柄が感じられて身近に感じます。シャイな人だったらしいけど、お茶目なところもずいぶんあったんだろうなって。

 そういえば、クリスティってけっこうグチるのが好きだった人かもしれないと思いませんか。

「ハロウィン・パーティ」や「マギンティ夫人は死んだ」など数編の作品にポワロの相棒として登場しているアリアドニ・オリヴァ夫人は絶対クリスティの分身ですよね。

「パーカー・パイン」シリーズにも登場している売れっ子の女流ミステリー作家という設定ですけど、作中で次の作品のアイデアが浮かばない!とか、年中ボヤきまくってる姿が陽気でかわいい。

僕はオリヴァ夫人の大ファンなんです。

 この花はこの時期には咲かないなどと、作品の中のまちがいをいつも読者から指摘されてるとボヤきつつも、まったくへこたれないのであります。これ実像にかなり近いんじゃないでしょうか。

読むたびに、またオリヴァ夫人の口を借りてクリスティがストレスを発散させてる、と思わずにいられません。

 特に僕が好きなのは「ひらいたトランプ」のオリヴァ夫人です。デヴィッド・スーシェがポワロを演じたテレビシリーズでオリヴァ夫人を演じていたゾーイ・ワナメイカーさんでしたっけ?まさにピッタリでしたね。

(猫山月彦)