
自費出版したあなたの御本は国会図書館に納本されます、という謳い文句。
目にしたことがある方も多いことでしょう。
猫山の著書である長編ミステリ「ドミノへ」も全国の書店さまで流通しているということで、国会図書館に納本されるとのこと。
いやぁ、何だか大げさな(笑)、と照れ笑いしちゃう反面、国の機関によって自著(まぁ、先生が書いたのですが)の存在が確固たるものになるような、気が引き締まる思いも同時にします。
そもそも図書館と縁遠い私、書生の丼丼。
国会図書館とは?納本とは?という疑問が湧きます。
国立国会図書館の使命と役割は、国立国会図書館法に定められています。
使命
「真理がわれらを自由にするという確信に立つて、
憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される。」
(国立国会図書館法 前文)役割
「図書及びその他の図書館資料を蒐集し、国会議員の職務の遂行に資するとともに、
行政及び司法の各部門に対し、更に日本国民に対し、
この法律に規定する図書館奉仕を提供することを目的とする。」
(国立国会図書館法 第2条)
「納本制度」とは、図書等の出版物をその国の責任ある公的機関に納入することを発行者等に義務づける制度のことです。わが国では、国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)により、国内で発行されたすべての出版物を、国立国会図書館に納入することが義務づけられています。
納本された出版物は、現在と未来の読者のために、国民共有の文化的資産として永く保存され、日本国民の知的活動の記録として後世に継承されます。
納本制度
民主化と世界平和への寄与、文化的資産として永く保存――
スケールが違い過ぎて「なんだかすごい」という言葉しか出てきません。
これを読んだ私は背筋が伸びました。
つまるところ、猫山の著書が「納本制度」にのっとって国会図書館に収められる、というワケです。
というわけで見てきましたよ。実際に国会図書館の東京本館に「ドミノへ」があるのかどうかを。
開館状況を前もってチェックしましょう
現在の国会図書館東京本館は新型コロナ渦の影響で入場制限中で基本的には事前の予約が必要とのこと。しかし例外がありました。
ただし、土曜日を含む開館日の9時30分から11時までの時間帯及び土曜日を除く開館日の16時以降の時間帯に限り、登録利用者の方は予約なしで入館できます。なお、滞在時間の制限はありません。
東京本館における抽選予約制による入館制限のお知らせ
つまり、例外の時間帯においてのみ事前予約も抽選もいらない、というわけです。
しかしそのためには「登録利用者カード」が必要です。つまり会員登録をしなければ予約無し入館はできず、登録に免許証などの身分証が必要とのこと。未登録の方は忘れず持参しましょう。
登録利用者カードがない私は、平日の午前10時ごろに行ったのですが到着〜登録〜入館まで、15分ほどでした。
混雑が予想される土曜日などはもうちょっと時間がかかるかもしれませんね。
ちなみに登録作業は新館のほうで行いました。
館内は撮影禁止。そして荷物も最小限。
さて登録が済んだ私は本館に移動します。
持ち込めるものは制限されており、貴重品と筆記具程度のみ可とお考えいただくと良いかと思います。
持ち込めないものは、ゲート前のコインロッカーに預ける仕組み。
ロッカーに入らない大きな荷物の場合は、ガードマンさんや受付の人に相談します。
「登録利用者カード」はICカードとなっており、ゲートを「ピッ」として入場します。カッコイイ!!
そして至るところに配置されているパソコンにカードをかざして、閉架書庫内を検索するという流れです。
ここに収められている本は一般の人は直接探し回ることができません。
すべてパソコンから探してリクエストします。
なんだかハイテクですね。
本当に自著があるのか?!ドキドキしながらキーを打ちましょう
いよいよ本番です。
我が国の法律にのっとって、国立国会図書館に収められた猫山の著書「長編ミステリドミノへ」は本当にあるのでしょうか。
緊張しながら打ち込みました。
丼丼「ドミノへ」カタカタ…
超高性能パソコン「0件です」
あれ、おかしいな…
きっとドミノという言葉は一般的な名称だから数が多すぎて弾かれたのでしょう。
さすが日本最高峰図書館にあるパソコンは性能が違います。
条件を変えましょう。もっと数が少なくてあまり一般的ではない言葉。
頭をひねって考えました。
よし、これなら世界に1つしかないはずです。
丼丼「猫山月彦」カタカタカタ…
超高性能パソコン「0件です」
なんだって〜!!
日本の法律にのっとって収められるはずの猫山の著書が存在しません。
確かに、確かに。
猫山が虚仮の一念で書き上げて、ウンウン悩んだ姿をこの目で見てきました。
当然生原稿だって私は見ました。
それなのになぜ、国会図書館東京本館に猫山の著書「ドミノへ」が無いのだ〜!!
トラブル?ミス?心がざわつきます。
楽しみにしていた先生になんて報告しよう・・・。
「二度と来ない’無い’という状況」を経験しておきたかった
この日の取材は、発売前の2月中旬。
そう。本がそもそも存在しないのです。
出来上がってもいないものが国会図書館にあるわけないですよね。
手元にすら無いというのに。
実は無いことは分かりきっていたのですが、足を運んだのです。
「猫山月彦(の著書)が本当に存在しないのか確認するため」
それが理由です。
「無い」というのは一般的にうしろ向きな出来事です。
無いよりはあった方が良いことが多い。
そして「ある」という喜びは、「無い」ことを経験していれば、きっと一層増します。
なにより、「ある」を一度経験をしてしまえば、「無い」経験をすることはできません。
二度と訪れない「国会図書館に著書が無い」状況を、思い出として体験しておきたかったのです。
自費出版をお考えの方は、ぜひ「著書が無い」体験を味わっていくと、その後の喜びが二倍も三倍にも味わえるのでおすすめですよ。
さて。そして発売から幾分経過した執筆時の今。
猫山の著書は、果たして本当に国立国会図書館に納本されているのでしょうか。
発売から納本、そして反映までは時間差があるという説明でしたので、そろそろ確認してこようと思います。
まさか、長編ミステリドミノへが存在しなかったらどうしよう〜。