なんと魅惑的なタイトルじゃありませんか。
この本を初めて書店で見かけたのは、もうずいぶん前のことです。すぐに手にとってガックリ!
なんと、アガサの作品なのにミステリーじゃない……!
当時既にミステリーにハマっていた、というか、アガサにハマっていた私は、人が殺されない話はモノ足りない。
死体が出てこない本は読みたくない、的な状態にありました。
そうです、アガサ中毒になっていたんです。
書店の棚でも圧倒的に目立つあのまっ赤な色。その巾の広いことといったら……。
酒とおんなじ。あんだけの量を読んだら、中毒にならない方がオカシイ。
長短の小説ばかりか戯曲まで飲み干し、否、読み干していた私は読む作品がなくなり、アガサロス症候群まっ只中。違う人の作品を買っては途中で投げだすという禁断症状にあえいでいました。
そこへまさかの「春にして…」ですよ。
アガサがミステリー以外も書いていたってことは知ってました。
でもそれはクリスティではなく、メアリ・ウェストマコットという名前で出していると聞いていたので、てっきりミステリーだと思いこんでしまったのです。
ヌカ喜びさせられたあとの傷は三倍痛い。
背表紙だって赤かったのにどおしてなんだあ!
ちょっと興奮してしまったので、あとはもう少し落ちついてからにします。